災害救助犬は風に乗った行方不明者の匂いを追うエアセント作業。エアセントはなるべく鼻を高く上げた方が匂いは取りやすい。警察犬は犯人や行方不明者の足跡を追う追及。追及はつまり鼻を地面へ下げている。
トレーリングとはその中間であり、人間が落とす細かい皮膚や足跡から漂う匂いを追う。
始めてイリスがセミナーに参加したのはイリスが1歳だった。3歳まで3年連続でアメリカから講師が来てくれていましたが、5年目の今年もやって来てくれました。
3年やってはみたものの、鼻を高く上げる癖の付いたエアセント犬のイリスにはトレーリングは難しい。どうしても風に乗る匂いを探そうとする。鼻を下に向けようとはしなかった。
これは子犬の頃からトレーリングを最初に始めないと、やっぱりエアセントを一度覚えてしまった犬にはかなり無理があるのかな?
エアセントは簡単だから。犬は匂いを追いかけて自由に走り回るので楽しい。特定の人の匂いではなく、行方不明になっている誰でも良いから探す楽しいゲームだ。
それに比べて追及やトレーリングは長めのリードを付けて特定の1名を探す。その人が使っていた衣類などが必要。
そんな訳で一般の災害救助犬にはトレーリングは難しい。
ところが、今年は違った。
イリスに探す1名の匂いが付いた物品を嗅がせ、ダメ元で歩かせてみた。
分かる、私がイリスの動きが分かるようになった。
イリスは時々、鼻を地面につけて嗅ぎ、真っ直ぐに隠れている1名を探し当てた。
今までの3年間は明らかにエアセントで、全く地面に興味が無かった。かなり怪しい動きで全然出来る気がしなかったのに、何故だ?急にトレーリングっぽい犬になった?昨年も今年も1度も練習しなかったので、今回のセミナーはハッキリ言って無駄足かもしれない、と思いながら参加したのに。
恐らく、イリスがオトナになり多少落ち着きが出た事、エアセント犬の作業がすっかり出来上がって中途半端な犬では無い事、それからついでにハンドラーの私がイリスの反応や動きがよく見えるようになった事でイリスのコントロールが容易になったせいかもしれない。
とにかく、行くのやめようかな〜と思っていたセミナーで思わぬ収穫があり、これはかなり嬉しい。
コツコツと練習を積み重ねれば、行方不明者を探す確率が上がる。
アメリカではトレーリング犬が沢山活躍している。日本でも優秀なトレーリング犬、作りたいと思います。写真はイリスの動きがとても分かりやすかったのでデモとして作業をして欲しいと講師から頼まれて出発するイリス。